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Blockchain にできること?

Blockchainがバズワードになっていて、もう完全に???状態だ。。。

訳のわからない言説がまかり通ってるし、発表されてたりする。

特にIoM(Internet of Money)以外の所でのBlockchainに関しては訳が分からなくなっている。IoT絡ませるところなんて特に分かりにくいので狙い目だ。。。 Blockchainで何も考えずにTrustlessな取引ができるのはあくまでもBlockchain内部の価値の交換だけだ。それ以外の応用においては現実とのリンクにTrustが必要になる。

例えばビットコイン払いの自動販売機があったとする(実際には海外にはあるらしい)。自動販売機についているQRコードスマホのカメラで撮影してビットコインを送るとコーラが出てくるかもしれない。そんな自動販売機がいっぱいあったとする。詐欺師が人通りの多い街中にコーラの入っていない自動販売機を置いたらどうなる?コーラは出てこず、ビットコインはどんどん詐欺師のアカウントに振り込まれる。 (まあこれは現在の通貨でも同じなんだけど、あえてそんな費用のかかることしないだろうという前提がある。それは別にBlockchainとは何も関係ない。)

現実との境目にTrustは必要だ。Suicaのように誰でも簡単に電子マネーを支払わせることのできないシステムとは違うのだ。ビットコインオープンソースでTrustlessだからこそ(誰でも自由にシステムを組める)、現実との境目にしっかりTrustが必要になる。 物の所有権の移転だってそうだ。そもそもNick Szaboの最初の提案の車の所有権の移転でも、自動車のダッシュボードに埋め込まれた装置をTrustしている。自動車メーカーをTrustする必要があるのだ。ハードウェアが出てきた瞬間にその境目は”必ず”発生する。ハードウェアをオープンソースにしたところで、その通りに作っているとは限らない。

ハードウェアが絡まないもの(IoTじゃないもの)であってもBlockchainに内蔵された価値以外のものを載せる時にしっかりしたTrustが必要になるものは多い。そもそもビットコインだってデバイスにある秘密鍵とリンクしているだけでそれを別人が使えればリンクは切れる。仮に絶対に本人だということが必要なクリティカルなシステムをBlockchainで作ろうと思えば、本人認証にかなり強力な仕組みがいる。Blockchain使えばセキュリティーが上がりますとか簡単に言えるものじゃない。 もちろん、Trustの必要性を少しでも下げるという意図のものは充分検討に値する。シチュエーションによってはそれが非常に有効なものもあると思ってる。けど、クリティカルな部分に使う場合は相当な検討が必要だ。

なんでこんなことを言っているのか、、、 だいぶ前から仮想通貨界隈は詐欺コインとか横行していたけど、自分はお金が数十倍になるとか欲がくらんだ方にも責任があると感じるので全然気にしていない。 けど、最近は、”Blockchainを使ってIoTがセキュアになる"とか"Blockchainでシステムがセキュアに"とかの例で破綻している話を公的な場所で平然とする"テックサイド"の人間が出てきてる。何が目的なのかよく分からない。情報弱者からお金を取るお金儲けなのか、名前売りたいのか、補助金が欲しいのか。。。よく分からないけど、"テックサイド"の人間がやってるのが個人的にちょっといやな感じ。夢を語らないといけないシチュエーションもあると思うけど、テックサイドなのに明らかに真面目に検討してないだろうと感じる話がある。

今の状況では、Blockchainに関しては夢物語を語る人より、"何ができないのか"もきちんと説明できる人の話を聞きましょう。本気で取り組んでる人達は皆、課題を持ってメリットデメリットを考えてる。