Tech と Culture

テクノロジーとカルチャー

enchantMoon祭りと 日本のハードウェアと プロダクト+アクティビティ

enchantMoonが巷を騒がせてます。enchantMoonの喧騒は色々感じる物があって。

(それを書くと非難受けてしまうかもしれないけど。)

 

最初に以下のことは明示しときます。

・enchantMoonは、周りに持ってる人いないのでまだ触ってない

LSIの量産はそれなりに知ってるけど、ガジェットの量産は素人

・ハードウェアとソフトウェアの開発者だけど、どちらかと言えばハード寄り。

触ってもないのに書くんじゃねえよって言われそうだけど、本当に言いたいことは一番最後の部分なんで。。。

 

 enchantMoonはネットでハード屋さんから色々叩かれてるけど、コンセプトモデルとしてはこんなものなんじゃないかなと思う。普通はTS(テストサンプル),ES1(エンジニアリングサンプル), ES2,...  とかハードウェアの修正を繰り返してから販売なんだろうけど、とりあえずTSとESの間で販売しちゃったぜみたいな印象。確かに、どこかのHPで見たフレキを直にはんだ付けってのはグッと来るけど(筐体に入れた時に応力かかって、常用使用で振動受け続けて大丈夫なのかな?)、大企業でもTSはこんなものなんじゃないかな?(大企業はTSを販売するなんてことは絶対しないけど。)  あとはしばらく使用してボロボロと故障が出てきたらヤバイけど、なんとか一年ぐらい乗り切ればコンセプトモデルなんで使い続けるひとなんてホンの少し。TSからES1, ES1からES2, 試験-設計修正-製造-試験のループを1回廻すと物凄いお金がかかるので、そこら辺はギャンブルに出たって理解した。

 

ハードウェアってのは一箇所でもミスがあると全く動かなくなるので、とにかく一つもミスがないように物凄く気をつかって設計する。逆にソフトウェアは今までに無いものをcreationできるかが勝負なので少々のミスなんて気にしてたら面白い物はできない。日本のハードウェアは本当に信頼性が高くて世界的なブランドになっているので、TSレベルの物を製品のように言って売るのが受け入れられないハード屋さんがいるのも想像に難くない。

 

ネットの感想みてると、「使いものにならない」「面白い」「将来に期待」「ゴミ」..... 賛否両論で物議をかもしてるなぁという感じ。けど、物議を醸すというのはそれだけで物凄く価値があることなんだよね。社会に新しい価値を示しているからこそ評価が別れるわけで。

 今のところ、現状は使えないって言ってる人の方が多いっぽいけど、本気の返品騒ぎは起きてない。つまりは使えないけど39,800円は払うって人が多い。それはつまり「製品+enchantMoonのアーリーアダプターになる行為」に39,800円払ったってことなんじゃないかと。これが大企業だったら袋叩きだったろうけど、UEIのチャレンジを応援することにお金払ってるんじゃないか。

元々Linuxから不完全なままリリースして、参加者を募るっていうバザール開発が始まってるけど、最近はgoogle glassとかでもハードウェア含めてその手法が適用され始めてる。さらにクラウドファンディングを通して、エンジニアでない人もお金で参加するということも始まってる。

 

昔は、専門知識を一杯持ってる人が尊敬されたし、最新の情報を持ってる人がカッコイイと言われたけど、今はググれば大抵の情報は手に入る。以下の記事(全面賛成する訳ではないけど。。。)でも、かっこ良く消費する時代から、かっこ良く生産する時代になったという部分は誰もが感じてるんじゃないか。

http://www.huffingtonpost.jp/rootport/post_5294_b_3668535.html 

enchantMoon買った人は、日本から全く新しいタブレットを出すという、格好良い生産行為に参加する(パトロンになって応援する)アクティビティを購入したんじゃないかと感じる。もし、enchantMoonの完成度が完璧だったら、「面白いUIだけど、それだけだよね」ってなってたかもしれない。UIの革新性とかよりも、この手法の新しさの方がenchantMoon祭りの本質なんじゃないか。

 

あまりうまくまとまってないけど、完璧なハードウェアを販売するってのは当然メインストリームなんだろうけど、一部では完全ではないハードウェア+アクティビティを販売するというマーケットが育ち始めてるってのを感じたのが個人的なenchantMoon祭りの感想だった。