Tech と Culture

テクノロジーとカルチャー

IMFのレポートとか規制とかいろいろ。

約二年ぶりのブログ更新

IMFからcrypto asset時代のマネタリーポリシーについてのレポートが出てた。後半に概要を書いた。適当に訳したので何か間違いがあるかも。

crypto asset時代の到来において、中央銀行が存在意義を維持するために何をせねばならないかが書かれている。全体的にcrypto assetを中央銀行の強力なライバルと考えて、分析していて、変なcrypto assetへの攻撃が全く無く、非常に知性を感じる。

ある意味、こういう考え方を中央銀行がすれば、ある程度、暗号通貨にも既に存在意義があったということになる。ただ独占企業なので、コンペチタが無くなれば元の状態に戻ると思うので、共存していけるかどうかが暗号通貨の今後の重要な課題。規制について色々議論があるけど、これぐらい知的な議論をしてほしい。

暗号通貨の本質は、、中央の権限を極端にしぼり、中央を市場原理の競争にさらすガバナンス構造の変化。それによってもたらされるのは、censorship registanceや(中央がビッグデータに使えないことも含む)、中央の独占的な立場からくる社会的無駄を省くことなど。censorship registanceの対象に国も含めれば、国家を超えた通貨ができるし、必要以上の権力の暴走の抑止力にもなる。 一方で、先進国で生活しているということは、警察の力で守られていることであって、AMLを無視することは単なるズルでしかない。 クールに本質的なトレードオフを議論して、よりよい社会を創るにはどのような法律を創るべきかの議論が行われるのと良いけど。

また、暗号通貨はとんでもなく大きな社会構造を変化させるイノベーションであり、その周辺には、これまでに起きたこともないぐらいの大きな産業が発生するだろう。 リソースが有り余っている世界に生きている訳ではないので、そこはビジネス競争の面が大きくなってくる。多分、国際競争力ランキングが大幅に入れ替わるぐらいのインパクトがあるんじゃないかと思ってる。

個人的には日本は暗号通貨関係なく、緩和策を続けられなくなるまでに新しい産業作れなかったら相当厳しいと思っていて、暗号通貨は最後の蜘蛛の糸なんじゃないかと思ってる(これは個人の感性なので反論はいっぱいあるかも)。いずれにしろ不況が起きれば、多数が亡くなるし、国民の大半は人生において辛い選択をせざるを得なくなる。一攫千金を狙った人達の500億が無くなった程度の話ではない。

規制は相対的な面もあり、緩い方に向かってマネーと人と産業が流れる。IMFのペーパーには、緩い規制へのレギュレーションアービトラージをさせないようにするのが一つの策だと書いてあるけど、必要以上に相対的に厳しい規制をすれば逆効果なのは分かりきってる。

ニューヨーク州はメディアの集まるconsensusの時に合わせて、暗号通貨の本質である個人のプライバシーを最大にするようなZCashの取扱を公的ライセンスな取引所に開始させた。これなんて完全に産業界へのメッセージだなって感じ。 (まあアメリカはもっと偉い所があとから厳しいこと言ってひっくり返せるので楽に言えるんじゃないかって思ってるけど)

いずれにしろ最終的に暗号通貨に対する規制がどこに落ち着くか分からないけど、今のところ、暗号通貨の本質を理解し、その時代に備えるってのが海外の先進国の態度なんじゃないかなと思う。

暗号通貨けしからん みたいな短絡的な話じゃなくて、暗号通貨の本質を傷つけないAMLとはとか、Fiatと暗号通貨を共存させたより強い経済みたいな話がさすがにこれから出てくることに期待。

http://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2018/06/central-bank-monetary-policy-and-cryptocurrencies/he.pdf

以下、概要の翻訳。


cryptoassetはいつかpaymentの代替手段となるかもしれない。それは中央銀行のお金であるfiatの需要を減らすであろう。マネタリーポリシーは中央銀行のお金の無い世界でも有効性を持つのか考えるタイミングだ。

Crypto assetはボラティリティが非常に高く、またfiatほど信頼性が高くない: 悪名高い詐欺や、セキュリティの問題、運用上の問題、不法行為との関係。

しかし継続的なイノベーションがこれらの欠点を解決していくかもしれない。Crypto assetの本質的なコンペティティブなプレッシャに対処するために中央銀行は有効なマネタリーポリシーを研究し続けるべきである。Crypto assetの性質やその裏側にあるテクノロジから学ぶこともできるし、デジタル時代にもっと魅力的なfiat通貨を創ることもできる。

Crypto assetsは他の通貨との交換によってマーケットバリューを持っており、paymentやstore of valueに使用される。マネたリーポリシーやリーガルテンダーとして価値をアンカーされているfiat通貨と異なり、crypto-assetの価値は他人も価値を認めて使用するという期待に基いたものであり、それゆえボラティリティーが高い。

ビットコインのようなcrypto-assetは供給が限られているため、インフレリスクが限定されている。しかし、通常安定したマネタリーシステムに期待される3つの機能が欠けている。構造的デフレリスクへの対策、一時的なお金に対する需要ショックに対するフレキシブルな対応、最後の貸し手としてのキャパシティ。

しかし、AI等を用いたもっと良い発行ルールを用いればバリュエーションはステーブルになる。そのようなものは既に登場しており、あるものは既存のfiatにペッグしており、あるものはインフレまたは価格ターゲッティングポリシーを模擬した発行ルールをためしている(アルゴリズミックな中央銀行)。

交換の媒介としてのcrypto-assetにはアドバンテージがある。匿名性の高いキャッシュであり、長距離のトランザクションを可能にし、分割可能である。この性質によりcrypto assetは特に新しいシェアリングやサービスベースのデジタルエコノミーのマイクロペイメントにとって魅力的である。

そして銀行トランスファーと異なり、crypto-assetのトランザクションは中間者無しに即座にセトルする。このアドバンテージは特にクロスボーダー取引において明白である。

つまり、いくつかのcrypto-assetが次第にもっと広範囲で使用され、ある分野のお金としての機能を満たしたり、プライベートなe-commerceのネットワーク、使われる可能性を排除できない。

Crypto assetの登場は、中間者がいるアカウントベースのペイメントから中間者やカウンターパーティの信頼の必要がない、バリューベースorトークンベースのペイメントに変化することを示している。

そのようなシフトはデジタル時代のお金の造られ方の変化の前兆である:信頼に基づくお金からコモディティのお金へ。ルネッサンス時代へ一周回って戻るだろう!

20世紀には、お金は信頼に基いていた:中央銀行マネーは中央銀行と市民の信頼や中央銀行コマーシャルバンクの信頼、コマーシャルバンクマネーは銀行と顧客の信頼である。それとは対照的にcrypto-assetは全く信頼に基づかず、かつ、なんらかのエンティティへの信頼もなく、コモディティマネーのようなものである。 もし、crypto assetがデジタル時代にコモディティマネーとして主要な役割を果たすならば、中央銀行マネーに対する需要は減っていくだろう。

このシフトがどのようにマネタリーポリシーに影響するだろう?中央銀行は通常、銀行間マーケットのリザーブの短期利子率を設定することによってマネタリーポリシーを実現している。そのようなリザーブサプライヤーとしての独占が弱まった時、中央銀行のマネタリーポリシーの能力は実際に奪われるだろう。

中央銀行が決定できる利子率は一般的な経済トランザクションに影響するアセット価格に殆ど関係しなくなるだろう。言い換えれば、中央銀行のお金は大半の経済活動を定義しなくなり、マネたリーポリシーは無関係になるだろう。途上国のドル化のアナロジーでみることができる。

中央銀行はどのように対応するべきか?最初にfiat通貨をより良いものにする努力を続けるべきである。 IMFマネージングディレクタのChristine Lagardeは昨年のスピーチで以下のように述べた。”中央銀行の最も良い対応は、今後も有効なマネたリーポリシーを実行し続けけ、かつ新しいアイデアと新しい需要にオープンな態度を取ることです” マネタリーポリシーコミッティーメンバーは安定した単位をオファーし続けるべきです。

マネタリーポリシーメイキングはテクノロジから力を得ることができる:中央銀行ビッグデータ人工知能、マシンラーニングの利用により経済見通しを改善することができる。 二番目に、行政はcrypto assetを規制のアービトラージに使用されることを防ぐように規制するべきである。これは、マネーロンダリングやテロリストへのファイナンスを防ぎ、消費者保護を強め、cryptoのトランザクションからの税収を効率化する。 三番目に、中央銀行は自身のお金をセトルメントに使われるように魅力的にし続けるべきである。中央銀行マネーをユーザーフレンドリーな形でデジタルワールドで魅力的にすることができる。例えば、自身の物理的なキャッシュや銀行リザーブの補助的なものとして自身のデジタルトークンを発行する等。そのような中央銀行デジタル通貨はcrypto assetと同様にP2Pで交換することができるだろう。

中央銀行デジタル通貨は強いネットワーク外部性がプライベートのぺいめんとネットワークに与える強い独占力への対抗策として役に立つだろう。 バンキングサービスのコストが重い個人やスモールビジネスのトランザクションコストを減らすことに役立つだろう。キャッシュと異なり、デジタル通貨は分割に制限が無い。

マネタリーポリシーの観点からは、interest-carryingな中央銀行デジタル通貨は、リザーブへの需要が消えた時に残りの経済圏へinterest rateポリシーを伝えるのに役に立つだろう(???))

そのような通貨の使用は、中央銀行が通貨発行から収入を得続けることに役立つだろう。新興マーケットに取って、シニョリッジは主要な収入源であり、独立性にとって重要なセーフガードである。

中央銀行通貨の設計において、トレードオフがあり慎重な考察が求められる。利点とリスクは、国ごとに異なる。

デジタル時代に中央銀行には挑戦と機会が存在する。中央銀行はfiat通貨に対する公的な信頼を維持し、デジタル、シェアリング、Decentralized service economyにおいてゲームに参加し続けねばならない。Crypto assetよりも安定的な単位をオファーしたり、中央銀行マネーをデジタルエコノミーにおいても魅力的な価値の媒介にすることによって適切な対応が可能であろう。

AI

一つ前のエントリはだいぶ先の未来にしかやってこないことだけども、AIに関する怖さは結構目前にまで来てるんじゃないかと自分は感じてる。

最近のAIは、ある程度会話が成立するところまで来てる。まあうまく人間っぽく議論をそらすことができてるという見方もあるけど。 twitterで短い取り留めのない会話ができる(AIだとばれない)ぐらいまではもう近いんじゃないかって感じる時がある。

もし、それぐらいのレベルに来たら。。。

多くの人にAIで軽く話しかけて相互フォローまで持っていく。 気がつかないうちに、各人に100人ぐらいのAIが偽装したフォロワーができる。 都知事選の時に「2年前ぐらいにレストランで小池⚪︎⚪︎子と偶然遭遇したんだけど、すごいヒステリックに店員怒鳴りつけてた」みたいな嘘を一人のAIフォロワーつぶやかせる。 別のAIフォロワーが「実は私も***でたまたま遭遇したんだけど、こんなことされた。。。」と呟く。

自分が時々会話するフォロワーさんのうち複数が悪い評判の立つような実像をつぶやいていたら、やっぱり裏ではそうなのかと多くの人が思うんじゃないかな。

これで、得票率にある程度影響は与えられるんじゃないか。ここまでダイレクトだと何かしらの違和感を察知されるかもしれないけど、もっとうまいやり方はいくらでもありそうな気がする。

これぐらいの危なさはもう目前まで来てると思うし、もしかしたらもうやっているのかもしれない。。。

AI, Blockchain, Cyber Physical System....

今日は、とりとめのない雑記。

TheDAOからのEtherのドレインが始まった時、リアルタイムで開発者Slackを見てた。(もともとSlock.itのslackのinvitationのメールがStephanから来た時になんとなくJoinしただけで、全然中身は見てなかったのだけど、@channelが飛ぶとデスクトップにはNotificationが飛ぶようになってた。)

ちょっと記憶があいまいなんだけど、ある時、@channelで運営っぽい人からの「Emergency! **のプロポーザル出した人、もしくはそれが誰か知っている人は急いで運営に連絡してくれ!」みたいな尋常じゃないテンションの発言が自分のデスクトップに表示された。 最初は何事なんだ?と思って初めてslock.itのslackを追いかけた。「何事なんだ???」とか皆がいっぱい書き込んでたんだけど、誰かが「Etherがドレインしてる!!!」って書き込んでから、ものすごいスピードで書き込みが殺到し始めた。

その時に強烈に印象に残った発言があった。それは運営からの「Ethereum上でコード実行できる人は以下のコードを実行してくれ!皆でDDOS攻撃をして、悪意のあるHackerのコードが実行されるのを遅らせて時間を作ってくれ!」みたいな発言だ。

「さすが誰にも止めれないDapps。こんなことが起こるのか」と、初めてDappsという物の意味を理解した気がした。 仮に、世界中のインターネットからセキュリティに脆弱性のあるコンピュータを探し出して、フルノードのソフトウェアをデプロイするDappsを作ったら、世界中のコンピュータの電源落とさない限り誰にも止められないアプリケーションが動き出してしまうな。。。とDappsの潜在的パワーにちょっと怖くなった。 仮にCyberPhysical Systemが動き出していて、リアルな世界にもアクセスできるようになっていたら相当な影響力だし、コンピュータを自分で作れるところまで行ってたら、もはやどうやっても止めれない。 Skynetの誕生だ。

ちょっと厨二病的か。けど自分は結構怖さを感じてる。

"Blockchain" という言葉

どうも世の中と自分の感覚が合わないな〜と感じるのが、"Blockchain"という言葉が指している範囲についてだ。

Satoshi NakamotoがBitcoinを発明した時にそのアルゴリズムがBlockchainと名付けられた。その後に、Blockchainを変更してマイニング参加者を限定したりするPrivate Blockchainが考案されて、話題になりだした。 なので、 Blockchain(Public blockchain) -> 変形してPrivate Blockchainを考案 って時系列なんだけど、どうも世間では "Blockchain"と言うとPrivate blockchainを指している雰囲気がある。

このブログで、Blockhainと言った場合はPublic blockchainを念頭においている(Private blockchainにも当てはまる時と、当てはまら無い時がある)ので要注意。

Blockchain にできること?

Blockchainがバズワードになっていて、もう完全に???状態だ。。。

訳のわからない言説がまかり通ってるし、発表されてたりする。

特にIoM(Internet of Money)以外の所でのBlockchainに関しては訳が分からなくなっている。IoT絡ませるところなんて特に分かりにくいので狙い目だ。。。 Blockchainで何も考えずにTrustlessな取引ができるのはあくまでもBlockchain内部の価値の交換だけだ。それ以外の応用においては現実とのリンクにTrustが必要になる。

例えばビットコイン払いの自動販売機があったとする(実際には海外にはあるらしい)。自動販売機についているQRコードスマホのカメラで撮影してビットコインを送るとコーラが出てくるかもしれない。そんな自動販売機がいっぱいあったとする。詐欺師が人通りの多い街中にコーラの入っていない自動販売機を置いたらどうなる?コーラは出てこず、ビットコインはどんどん詐欺師のアカウントに振り込まれる。 (まあこれは現在の通貨でも同じなんだけど、あえてそんな費用のかかることしないだろうという前提がある。それは別にBlockchainとは何も関係ない。)

現実との境目にTrustは必要だ。Suicaのように誰でも簡単に電子マネーを支払わせることのできないシステムとは違うのだ。ビットコインオープンソースでTrustlessだからこそ(誰でも自由にシステムを組める)、現実との境目にしっかりTrustが必要になる。 物の所有権の移転だってそうだ。そもそもNick Szaboの最初の提案の車の所有権の移転でも、自動車のダッシュボードに埋め込まれた装置をTrustしている。自動車メーカーをTrustする必要があるのだ。ハードウェアが出てきた瞬間にその境目は”必ず”発生する。ハードウェアをオープンソースにしたところで、その通りに作っているとは限らない。

ハードウェアが絡まないもの(IoTじゃないもの)であってもBlockchainに内蔵された価値以外のものを載せる時にしっかりしたTrustが必要になるものは多い。そもそもビットコインだってデバイスにある秘密鍵とリンクしているだけでそれを別人が使えればリンクは切れる。仮に絶対に本人だということが必要なクリティカルなシステムをBlockchainで作ろうと思えば、本人認証にかなり強力な仕組みがいる。Blockchain使えばセキュリティーが上がりますとか簡単に言えるものじゃない。 もちろん、Trustの必要性を少しでも下げるという意図のものは充分検討に値する。シチュエーションによってはそれが非常に有効なものもあると思ってる。けど、クリティカルな部分に使う場合は相当な検討が必要だ。

なんでこんなことを言っているのか、、、 だいぶ前から仮想通貨界隈は詐欺コインとか横行していたけど、自分はお金が数十倍になるとか欲がくらんだ方にも責任があると感じるので全然気にしていない。 けど、最近は、”Blockchainを使ってIoTがセキュアになる"とか"Blockchainでシステムがセキュアに"とかの例で破綻している話を公的な場所で平然とする"テックサイド"の人間が出てきてる。何が目的なのかよく分からない。情報弱者からお金を取るお金儲けなのか、名前売りたいのか、補助金が欲しいのか。。。よく分からないけど、"テックサイド"の人間がやってるのが個人的にちょっといやな感じ。夢を語らないといけないシチュエーションもあると思うけど、テックサイドなのに明らかに真面目に検討してないだろうと感じる話がある。

今の状況では、Blockchainに関しては夢物語を語る人より、"何ができないのか"もきちんと説明できる人の話を聞きましょう。本気で取り組んでる人達は皆、課題を持ってメリットデメリットを考えてる。

CryptoEconomicsとTheDAO

Ethereum上のDecentralized ApplicationのTheDAOがHackingにやられた。 btcnews.jp この件そのものについてはネット上に色々あるし、正直どうでもいい。

TheDAOについてはCryptoEconomicsに関する自分の疑問や懸念点をもっとはっきり理解できる実験になるのではないかと注目していた。その項目は、 (1) CryptoEconomicsが作る世界は、「不当な支配力を持つ組織から個人を解放した世界」ではなく、「評判が大きな影響力を持つポピュリズムの世界」ではないか? そうならない対策はあるのか? (2) Decentralizedと呼べる状態の定義は何?

(2)については今回は考えずに(1)について色々考えてる。

BitcoinでTrustlessとよく言われるけど、これはTrustが無くなったという訳ではなく、Trustの形が変わったと言った方が正しい。神様サーバの無いP2Pネットワーク上で、いちentityやいち個人が恣意的にコントロールができない価値の送受信を行えるシステムだ。しかし、ユーザは何も信用していないという訳ではない。bitcoindのソフトウェアにバックドアが無いことを信用しているし、自分がインストールしたbitcoindが純正であることを信用している。それをどうやって信用しているかというと、githubという会社の評判、bitcoindがオープンソースでバザール開発であることと開発者の評判、などなど。信用の仕方が分散的なのでTrustlessになっている。 もともと「国家よりもMathematicsやソースコードを信じる」というようなスタンスでアナーキスト中心に広がっていったのがBitcoinだ。本当の初期は「ユーザ=開発者とその知人」だったと思うのでほぼその通りだったのだろうけど、Geekに広がり始めた時からbitcoindのコード自体は読んでない人の方が多分増えている。それでもGeekはWhitePaperは理解できるだろうし、githubに慣れていれば何となく情報の真偽は分かる。けど、今やBitcoinはマスアダプション寸前に来てる。マスアダプションとなると「国家よりもMathematicsやソースコードを信じる」などと言っても、WhitePaper読めない人の方が多いし、ソースコード読める人なんて少数の特殊技能者だ。結局、メディアなんかの評判から信用できる人やWebを探して使うって人の方が圧倒的多数だろう。

TheDAOが始まった時に、一応プログラムが読める自分ですらコードを読んでない。全てのプログラムを読むなんて時間はないのだ。。。なので全貌を知っている訳ではないので自分が知ってると思っている範囲で書いている。

元々、資本主義は持っている資本のサイズが大きい方が圧倒的に有利なゲームだ。1億持っている人と10億持っている人では、ゲームの有利さが1:10ではない(もちろん優秀だったらひっくり返せるんだろうけど)。 シリコンバレーの有望ベンチャー企業ベンチャーキャピタルへの出資は全ての人に門戸が開いている訳ではなく、大きな資本を持っていて売り先を持っているぐらい影響力がある人達が投資する。会社は資本の分散は避けたいのでむやみやたらに株主を増やしたりしない。

TheDAOはソフトウェアコードでVCを自動化した。ソフトウェアなので小口を大量に集めても運営上問題ないし、行動自体もコードに従うので、1:10の出資であれば権利も厳密に1:10だ。これは本当に画期的なことでゲームのルール自体がフェアに近づく。だからこそうまくいったら既成の権威に潰されるんじゃないかと思ってたんだけど、残念ながらそこまでも行かなかった。。。 (TheDAOにはバグがなかったとしても色々無理な部分があると思ってるけど、このエントリでは無視してる)

Ethereumは「不当に大きな権利を持つEntityから個人同士の世界へ」を掲げていたので、このような仕組みが広がればより良い世界へ向かうような気もする。 が最近自分が感じていたのはちょっと違う。Bitcoinのところで述べたように、このような社会システムが様々なところに適用されたとしたら、殆どの人はその仕組みを理解できず、専門家の意見が割れたとしても判断する方法が無く、結局能力が高いと言われている人の言葉に完全依存してしまうんじゃないかと感じる。 まあ個人ベースの世界に移行するのだからそれで良いような気もするけど、多分、CryptoEconomic界の評判をコントロールするメディアやビジネスがたくさんできて、今よりももっとひどいポピュリズムの世界になっちゃうんじゃないかという予感が最近はかなり強い。

そしてそれに対する対策は今のところ思いついてない。。。

追記: どうも書き方が良くなくてうまく伝わってないようだ。 (1)資本主義や民主主義は理念と実際の社会にずれがある。 (2)それとは別に資本主義や民主主義に基本的欠点がある (3)ソフトウェア実装で(1)のズレをなくすと(2)の本質的欠点が強烈に浮かび上がりそう

なんとなく雑記

FBから転載した。

個人的な感覚は、ブロックチェーンはコンピュータサイエンスじゃなくて工学。 エッセンスを抽象化して、アプリケーションを考えたりすることはできるけど、安全性考える時は工学的なアプローチが必須。

VitalikのFinalityの議論があったけど、そういうの以前にソフトウェアが動いている半導体自体が設計・製造メーカーから確率的な信頼性で出荷されてる。コンピューターサイエンス的な思考だと確率的な動作は違和感あるけど、工学的な思考だと当たり前のことに感じる。

バイスの出荷基準はFIT値で保証したりしてる。チップ内部で一方向にしか電流流れない配線はエレクトロマイグレーションで劣化していくし、ゲート電圧なんて少し高く与えると簡単に壊れる。 配線についてはテストデバイスを作って実験しまくってどれぐらい大丈夫か測定して上限を示し、チップレイアウトを設計している人たちがその値を守るように設計する。チップ全体でそれが守られているかチェックするソフトウェアもある。

新しいプロセスができる時に、トランジスタのプロファイル(不純物濃度をどうするとか)はエンジニアが物理制約の中で自由に決めれる。けど変なバランスで設計するとあっという間に壊れるので、なるべく面積小さく速度早く要求される年月で壊れないように設計される。それも全部統計的なデータ取って、ある確率で大丈夫なように設計してる。 いろんな設計レイヤーで徹底的な実験や研究をしてすごく高い信頼性のLSIが出荷されている。それでも100%保証じゃない。(アレニウスの式とか色々その分野だけで一つ教科書ができるぐらい研究されている) 100%保証じゃなくてもマーケットのニーズがあれば売れていく。

昔々、不揮発メモリのニーズはすごく強かったが実現してなかった。ある物理現象で実現できることを天才が示したけど、その現象使うと劣化しやすかった。それでもマーケットニーズが強かったので書き換え回数に制限をつけて出荷してる。

なので、ブロックチェーンのファイナリティが決定論的ではなくいつまで経っても100%にならないというのは"工学"的には特に問題なことじゃない(コンピュータサイエンス的には気持ち悪いかもしれないけど、むしろその方が狭い分野からの見方)。そもそもソフトウェアが動いている半導体の動作が確率に支配されてるんだよね。

誰かが最初に飛行機飛ばした時に、何故空を飛ぶのか良く分からなかったけど、後から色んな人が飛行機を作ったと思う。けど、人を乗せて旅客機事業をやるとなったら色んな安全性の議論は起きたはず。多分ブロックチェーンは今そのフェーズ(飛行機と違って、本当は空飛んでないんじゃないかって説もあるのでさらに難しい)。 まあけど、間違った理屈で「飛行機なんか詐欺だ」というのもすごく変。

ビットコインのブロックチェーンはブロックタイムが10分だけど、世界中にproof of workのパズルの解答を広めるのにおおよそ12秒かかるらしく、ブロックタイムをどんどん縮めていくと多分あるところからフォークして収束しなくなる確率がどんどん上がる。

その他にもcryptcurrencyはinternet of moneyなのでinternetがきちんと動くことに当然依存している。

ここら辺の安全性はコンピュータサイエンスじゃなくて"工学"なんだよ。コンピューターサイエンス的な議論も一杯必要だけど最終的に議論として残るのはコンピューターサイエンス的なところじゃなくて、実証論的な工学的な信頼性。だからビットコインは数学屋の世界からじゃなくてオープンソースの世界から生まれてきた。(もちろんコンピューターサイエンスは実証論てきな部分の追い込みには役に立つと思うけど)

マーケットニーズがあるなら、今ある部品を使ってどんどん新しいものを作ればいい。エンジニアなんだから。 それと同時に、単なる一部の人の投機ゲームから、産業の基盤にしようとするなら、どんなリスクがあるのかきちんと調べ上げて説明しないと受け入れられない。完全じゃなかったとしても、半導体みたいに調べ上げてマーケットが納得する仕様上の制約を作ればいいだけ。

どうも仮想通貨やブロックチェーンは、

・なんでもかんでも肯定してリスク評価せずに「理解できない人は遅れている」という人や

・なんでもかんでも否定して、「あんなものは使えない」という人

が多くて、本当に変な感じだ。

もうそういうフェーズは脱して、産業基盤に使えるものをエンジニアが作り出すフェーズに入りたいものですね。