Tech と Culture

テクノロジーとカルチャー

Good Future

このBLOGで思想的なことは書かないようにしてたんだけど、どうしても書きたくなってしまったんだな。
浅はかな考えかもしれないし、不謹慎攻撃受けるかもしれないけど。。。文体をやわらかくしているのは、不謹慎攻撃を避けるため。

私はどちらかというと昔から原発反対に近い考え方なんだけど、自分の生活が原子力発電に依存しているのは分かっているから強く主張はできないと思っていました。
自分の中では「自然との共生」っていうのが重要で、自然を破壊するテクノロジーには反発心が沸いてしまう。
けど、今回はじめて見た恐ろしい津波の映像では、木造住宅は根こそぎやられてしまって、ものすごいエネルギーを使って建てた鉄筋コンクリート建造物に逃げ込んだ人は助かった。それに技術の粋をつくした最新鋭ヘリコプターが何人もの命を救った。だから単純な自然第一もまた違うんだなって思い知った。

これから日本で原子力発電は漸近的な廃止に向かう。それは政治的にも避けられないでしょう。
多くの論調は原子力なくせば、日本経済が破綻するというものなんだけど、本当にそれがイコールなのかなっていう疑問がずっとあって。

ここ一年ぐらいアルビン・トフラーの「第3の波」という本のことを思い出すことがすごく多くなってました。
そこに書いてあることは、農業革命が第一の波、産業革命が第二の波、そして今第三の波が来はじめていて、脱工業社会に向かうというようなこと。
産業革命は人類に信じられないような力をもたらして、繁栄を与えた。けど、その本質は銃や武器を作る力を得たことであって、先進国の繁栄は、途上国の人たちを銃で脅して働かせたことにあるということを説明してます。

先進国の人間は自分を含めて皆、産業革命以来、熱病にかかっていたようなものだなぁと自分は感じます。
バブルの頃が一番熱が高かったけど、最近は「あれっ、なんか違う」って多くの人が思っているような気がする。
twitterで世界中の人とリアルタイムでコミュニケーションできる時代になって、先進国の欺瞞も目を背けることができなくなった。資本主義(自由経済主義)は現存するシステムの中では一番まともだけど、完璧ではないなと思い始めてる。Wikileaksの登場で、国家の権威が市民の権利に対して実は不必要に大きすぎるのではないかと思い始めている。交換経済(自由経済)とは明らかに異なる、贈与経済のムーブメントで開発されたLinuxが世界を席巻している。無駄な贅沢を格好悪いと感じ始めている。

バブルの頃、BMW5シリーズのカブリオレってのがあって、「めっちゃ格好いい。乗ってみたい」とか思っていたんだ。2年ぐらい前に近所のコンビニの駐車場に停まっていて、「懐かしいなぁ」と思いながらコンビニ入ったら、ちょっと高そうなスーツに銀色のベスト着た若い男の人がいた。明らかにその人が乗ってきたと分かったんだけど、その時心の中で自然と笑っちゃった。「石田純一かよ(笑)!」って。
(失礼。石田純一は結構好きです。けど、トレンディドラマの頃の石田純一を思い出した。)
その人自体はイケメンのすごく格好良い人だったし、どんな嗜好を持っていてもその人の勝手なんだけど、その時あまりにも自然に笑いが出たので「自分の中の格好良いは、完全にバブルの頃とは変わったんだなぁ」と気がついた。

多くの人が、今や「自由経済の中で勝ち組になって、希少性の高い一部の人しか買えない高価なものを買って楽しむ。それが格好良い。人より稼ぎたい」っていう価値観とは違う価値観を持っている。けど、社会のシステム自体はまだまだ産業革命の熱狂で作られたものが支配していて、自分だけ新しい価値観で行動すると金銭を失うので迎合せざるを得ない。そしてフラストレーションがたまる。そんな時代を、ここ何年も送ってきてる。

そう考えたときに、今の日本の状況って、必要以上に暗く考えることないんじゃないの?って思う。
(むかついた人、ごめんね。)

日本は世界で売れまくる電気自動車を開発してきた。1mWを削るようなモバイル機器も開発してきた。免震構造をもった高層ビルを開発してきた。低消費電力のエアコンも開発してきた。新幹線も開発してきた。
けど、ちょっと考えれば分かるけど、新しく低燃費の電気自動車開発するよりカーシェアリングをしっかりできる社会システムを作った方が遥かにエネルギーは減らせる(車一台作るエネルギーはすごいよね)。さらなる低消費電力のエアコン開発するよりも、ローパワーの電車を開発するよりも、地域にテレワークセンターみたいなものを作って、そこからネットで仕事した方が(業種は限られるけど)社会全体で電車で移動するエネルギーが大幅に減る。雑誌が全部電子書籍になれば、全国でどれだけのトラックのガソリンが必要なくなる?相当なものだと思うよ。役所で書類を取りに行くのを、全部skypeみたいなもので家から役人と話して認可とって家でプリントアウトできるようにすれば(本当はプリントアウトもしない社会システムがもっと良いけど)どれだけ、移動時に使われているエネルギーを減らせる?
ネットリテラシーの無い人のための窓口とネットリテラシー教育所は必要になるだろうけど、それできる失業者は結構いるよね。

そんなに途方も無い技術? 全然そんなことは無い。 じゃあなんで今まで実現されてなかったのか。
それは、産業革命の熱狂のあとの資本主義社会システムの行動原理では、いろんなしがらみがあって進まなかった面が大きいと思う。それで会社としては、低燃費の車を開発するような方向に当然向かう。これは日本だけではなくて、世界中がそうだと思う。

さあ、けど、もう日本では逃げ道が無くなった。使用できる全体のエネルギー量を減らしながら経済発展させていかないといけない。もうやるしかない。
日本には、車を作る技術もある、モバイル機器作る技術もある、高層ビル建てる技術もある、危機に向かって団結する高いモラルもある。一番のネックだった変な社会的しがらみも打ち破れそう。
技術者なら皆理解できると思うけど、必要は発明の母なんだ。どうしても造らないといけない社会状況は開発を猛烈に加速させる。推進する方向にいろんな人が力貸してくれるからね。一人の天才の力なんか話にならないぐらいのパワーがある。
新しい低エネルギー社会を構築していくのにこれほど適している環境は世界中で今の日本だけ。全力で開発していけば、間違いなく他国と比較して何年も先進した社会を造りだせる。
第三の波の所で書いたけど、皆が望んでいるけどうまく実現できていないのは世界共通の状況。その中で日本がそれを実現して、「Cool!!!」 って言わせれば、皆それを買いに来る。社会システムと技術と導入・運営コンサルティング。パッケージで高い値段で買ってくれるものを作れるんじゃないかな。

うまく全体が破綻しないようにエネルギー量を時間をかけて減らしていけば、社会的豊かさを失わずに実現できる可能性はあるんじゃないかなぁ?最初は、本当に必要な所にエネルギーを集中しないといけないので、それ以外の所は相当苦しいことになるのは避けられないんだろうけど、明るい未来が思い描ければ、今、それは我慢できる気がする。
とんでもない贅沢はできなくなったとしても、そもそもそんなものは熱病の名残で、本当はそんなもの心の奥は望んでない人が大多数なんじゃないかな。
それになんか、国全体のエネルギー量みながら、新しいテクノロジーとライフスタイルと文化を創るのって、苦しいながらも楽しみを見出せる気がしない?もうどうせ長期戦なんだから楽しみ見出せる方向じゃないとね。

楽観的すぎる?妄想?
そうかもしれません。日本は(自分も含めて)、原子力で大失敗した。大失敗した後は落ち込むし、お先真っ暗に感じて絶望するんだけど、しばらくしたら、なんか小さな希望を探し始めるんだよね。それに明るい未来を想像するのは、エネルギー使わなくてもできるんだよね。


Good Future!